最近の愛読書 ー オリヴィエ少年の物語
2018年 02月 19日
相変わらず、図書館通いを続けています。
わたしの読書の傾向として、疲れているときは暮らし系のエッセイなどを手に取ることが多いです。
どれも平易な言葉で、字が大きく、やさしい語調で書かれているので、頭休めになるからだと思います。
それでいて、ちょっと家事をがんばる気持ちにさせてくれるし。
もともと少し古い時代の欧米の文学が好きなのですが、この頃は新しいものをほとんど読んでいませんでした。
それが、今年の目標「がんばらない」効果の現れか、久々に厚めのフランス文学の本を手に取る気になって、読み始めたら面白いこと。
1920年頃、主人公はパリの下町に暮らす7歳の男の子。もっと小さな頃に父親を亡くし、母一人子一人の暮らしでしたが、ある朝目が覚めたら、大好きな美しいお母さんが亡くなっていたのです。と書くと悲劇的ですが、少年の性格的なものか、それとも子どもの持つ強さなのか、悲劇に溺れることなく生きていく少年の話です。少年の視点から描かれる活き活きした街の様子、忙しい大人は気に留めないようなちょっとした美しい瞬間の描写、そして優しい人ばかりでもなく冷たい人ばかりでもない、普通の人々、たまに思い出すお母さんのことなど。ちょっとした隙間時間にページを繰る手が止まらず、現在は3部作の3冊目を読んでいるところです。
オリヴィエ少年のモデルは、作者のロベール・サバティエ。幼い頃に両親を亡くした作者の、半自伝的小説なのだそうです。
この話を書き始めたとき、作者はすでに老齢だったようですが、幼い目に映った日常の光を、よくぞこれほど巧みに再現できるものだと思います。
久々に読み応えのある文学書を読みました。
by umitoramarine
| 2018-02-19 23:24
| 本のこと
|
Comments(0)