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アラフォーのわたしと夫と猫2匹の暮らしに、男児が一人加わりました(2016年11月)。おいしいもの、猫、本、アートと子育て日記。


by umi
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ライオン 〜25年目のただいま

ツタヤディスカスで長らく借りっぱなしになっていた映画をやっと観たのです。
『ライオン〜25年目のただいま」の感想を書きますが、ネタバレありなので、これから観る方は気をつけて。


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インドのスラム街で暮らす5歳の男の子が、長距離回送列車に乗ってしまい、遠く離れた見知らぬ土地で迷子になるところからストーリーが始まります。

自分の住んでいた街の名はおろか、お母さんの名前も、自分のフルネームさえ言えないような小さな子。
さらに、インドなので長距離移動した先では話す言葉も違っていて、言葉も通じず……。
ストリートチルドレンの多いこの国では、迷子の子どもがひとりうろついていようとも、気に留める人はなく、やがて、幸か不幸か施設に入れられることになります。そして、養子を探していたオーストラリアの夫婦の元に引き取られ、豊かな暮らしをし、愛されて育った彼ですが、もちろん故郷の母や家族のことを忘れることはなく、大人になってから、グーグルアースで故郷を探し当てる、というお話です。

私、20年ほど前ですが、一度だけインドへ行ったことがあります。
インドは、旅行へ行くと好き嫌いがはっきり分かれるとよく言われますが、わたしの場合、トランジットで半日ほど観光しただけですが、正直にいうと二度と行きたくないと思いました。

まず、空港を出たところで待ち構えていたストリートチルドレンに囲まれ、お金をせびられる。
中には口も回らないような3歳くらいの小さな子もいるんです。
ツアーで、可哀想だと思ってもお金をあげてしまったら、それこそみんなに囲まれるから絶対にあげないようにと添乗員さんからきつく言われていましたが、無視するのも辛いような、痩せて目が大きく、黄疸の出ているような子ども達。
彼らはよくわかっていて、ツアー団体の中でも、それぞれ一人をターゲットに定め、他の人は一切見ずにその一人について歩くのです。それも、小さな子どもがこんなに遠くまで来ていいの?と心配になる程、1kmくらいついて来た気がします。
子どもだけじゃなくて、不自由な体を見せつけてくる大人の物乞いも多く(そのためにわざと指を切ったりすると聞きました)、目に焼きつくような光景をたくさん見ました。ただ、彼らは、ものすごい生命力で生きようとしている。平和ボケしているわたしは、それに当てられたような感じでした。覚悟無しには歩けない国。それがわたしのインドの印象です。

そんな思い出があるので、ああ、あそこで迷子になったら最後だなぁ、と思いながら見ました。
主人公の5歳のサルーはとっても可愛くて、つい息子と重ねて見てしまう。全然似てないけど。
でも、5歳のサルーは、迷子になっても涙一粒流さないのです。
彼の生まれ育った環境は、泣けば誰かが助けてくれるような世界ではないんですね。
たった5歳で、生きる厳しさを、当たり前のように知っているのです。

なんとこれ、実話なんですって。

5歳にして、言葉の通じない土地で迷子になり、家族と離れ離れになる不遇の反面、故郷にいれば決して手の届かなかったであろう、恵まれた環境で高等教育を受けられたのは幸運と言えないこともなく……それを決められるのは本人だけですが、間違いなく数奇な運命とは言えそうです。

ただ、迷子になったことによって命を落としたり、人身売買されたりというリスクを潜り抜けて、恵まれた環境を得た上に、最後には故郷へたどり着いたサルーの「生きる力」は、感動的だと思いました。最後の方は、泣いちゃいましたよ。

この映画の、大人になったサルー役のデブ・パテルって、どこかで見たと思ったら、「マリゴールドホテルで会いましょう」という2作の映画に出演していたみたい。先日書いた「マダム・イン・ニューヨーク」もそうですが、インドには二度と行きたくないと言いながら、わたしは結構インド系の映画を観ているみたいです。

インドを生き延びるバイタリティに当てられる、と言いながら、自分にはないその生命力に憧れもあるのかもしれませんね。












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by umitoramarine | 2018-03-25 23:52 | 本のこと | Comments(0)